ヴィンセント・ムーン(Vincent Moon)



1979年パリ生まれ。パリ大学で写真学を専攻。マイケル・アッカーマン(MichaelAckerman)やアントワン・ダガタ(AntoineD’Agata)の影響下で写真を学ぶ。その後、実験映画作家ペーター・チェルカスキー (PeterTscherkassky)の作品に感化され、映像の世界へ。

2006年プロデューサーのクライド(Chryde)と共に、インターネット音楽映像無料配信シリーズ「The Take- Away Shows」を立ち上げ、「ミュージックビデオの見直し」を提案。最小限の演出、ワンテイクの撮影スタイルは視聴者に身近な感動を与え、ビジュアルとサウンドに重点をおいた美しく荒々しい映像は、MTV 以降の新しい音楽PV の在り方を切り拓いたと絶賛される。

これまで、R.E.M.やトム・ジョーンズ(TomJones)、ザ・アーケード・ファイア(TheArcadeFire)、ベイルート(Beirut)、シガー・ロス(SigurRós)、フェニックス(Phoenix)、アニマル・コレクティブ(AnimalCollective)、ヴァンパイア・ウィークエンド(VampireWeekend)、二階堂和美などメジャー、インディーを問わず多数のアーティストを撮影。2008 年からは遊牧民のごとくカメラひとつで世界を旅し、音楽だけでなく、パフォーマンスやダンスなどを撮影する生涯をかけたプロジェクト「ノマディック・フィルムメイキング」をスタート。

なお、作品の大部分はクリエイティブ・コモンズ(CC BY-NC-SA)により、ウェブ上で無料配信されている。

vincent moon website / twitter / vimeo






ザ・テイク・アウェイ・ショーズ(The Take-Away Shows)

フランス発音楽情報サイト、ラ・ブロゴテック(La Blogothèque)が提案するミュージックビデオシリーズで、アーティストがパリの路上や地下鉄、カフェなどに飛び出し、即興で演奏、手持ちカメラで撮影した映像をインターネット上で無料配信している。最小限の演出、ワンテイクでの撮影、ハプニングや観客は大歓迎というムーンらしい映像は、音楽PV の世界に革命をもたらし、若い映像作家にも多大な影響を与えた。欧米では既にメジャーな音楽サイトとなり、2006 年の創立から4年間で100 シリーズ以上配信している。

<主なコラボレーション・アーティスト>
Animal Collective, Architecture in Helsinki, Au Revoir Simon, Beirut, Black Lips, Bon Iver, Caribou, De Kift, Elvis Perkins, Fleet Foxes, I’m From Barcelona, LIARS, MAN MAN, o’death, Patric Watson, Phoenix, Pigeon John, R.E.M., scout niblett, Sigur Rós, SLARAFFENLAND, Stephen Malkmus, Sufjan Stevens, The Arcade Fire, The Ex, The National, Tom Jones, Vampire Weekend, Vic Chesnutt, Xiu Xiu, Yeasayer, YO LA TENGO 他多数


A Take-Away Show #41_ Arcade Fire



A Take-Away Show_ Phoenix






ベイルート、ザ・ナショナル、ザ・アーケード・ファイア、そしてR.E.M.

商業的でマス向けの音楽PV から距離を置き、常に新しい方法を模索しているムーンは、2007年11月にラ・ブロゴテックの創立者クライドと共に、ベイルート(Beirut)のセカンドアルバム『The Flying Club Cup』収録曲全12曲のミュージックビデオ『Cheap Magic Inside』の制作を手がけ、ブルックリンの街中でワンテイク撮影されたドキュメンタリータッチの映像が、特設ウェブサイトでも公開された。
2008年5月にはニューヨーク出身のザ・ナショナル(The National)のドキュメンタリー映像『A skin, A night』をリリースし、また、『Miroir Noir』ではケベック発のロックバンド、ザ・アーケード・ファイア(The Arcade Fire)に密着。ライブ映像に加えレコーディング風景などもとらえたムーンらしいリアルな映像描写で、迫力のある76 分のDVD が完成した。
さらには、大御所ロックバンドR.E.M.のニューアルバム『Accelerate』のレコーディングの映像や、ユニークで画期的なウェブ配信プロジェクト『90nights』、シングル曲『Supernatural Superserious』のためのミュージックビデオとウェブサイト、また、ダブリンで行われたライブを収めたビデオ『This Is Not a Show』の撮影制作も行った。
激しいリズムで意識不明者が続出することで知られているポストロックバンドのモグワイ(Mogwai)のブルックリンで行われたパフォーマンスを50分間の映像に収めた『Burning』も製作し、前衛的なライブビデオと称されている。


'Cheap Magic Inside'_Beirut



'Supernatural Superserious'_ R.E.M






ATPのドキュメンタリー映画『オール・トゥモローズ・パーティーズ』

2006年UK発オルタナティヴ・ミュージックフェスATP(オール・トゥモローズ・パーティーズ)をドキュメント。2007年10月にWarp Filmsはムーンをミュージックビデオ監督として登録し、2009年には82分にわたるATPドキュメンタリー映画『オール・トゥモローズ・パーティーズ』の撮影に参加した。



ノマディック・フィルムメイキング

遊牧民のごとくカメラ片手に世界を旅しているムーンは、出逢った現地の音楽やダンス、クリエーションを即興的にまた周りの観客も含めて実験的に撮影し、映像と社会、ニューテクノロジーをリンクさせたプロジェクト「テンポラリー・エリアス(Temporary Areas)」を立ち上げる。
2009年5月には、デンマークの9 組のバンド演奏をノーカット、ワンテイクで30 分間の一連のパフォーマンスとして表現された実験的映像『テンポラリー・コペンハーゲン』(Temporary Copenhagen)がウェブ上で公開された。
続いて『テンポラリー・アテネ』(Temporary Athens)と『テンポラリー・バロセロナ』(Temporary Barcelona)のリリースを予定している。


'Temporary Slaraffenland'_ Slaraffenland



'Temporary Copenhagen'_ The William Blakes






ミュージシャン・オブ・アワー・タイムズ

稀にみる賞賛すべき美しい音楽家をフォーカスしたドキュメンタリー映画シリーズ、「ミュージシャン・オブ・アワー・タイムズ」(Musicians of Our Times)の第一弾は『リトル・ブルー・ナッシング』(Little Blue Nothing)と題し、チェコの音楽家ハベルス(The Havels, Irena and Vojtech Havel)のポートレイトを撮影。純粋に音楽を愛し、15 年以上生活を共にするカップルの美しいドキュメンタリー映画。プラハの素晴らしい街並と、透き通ったピュアなハベルスの音楽が圧巻で、ムーン独特のカメラアングルが絶賛される。
第二弾として、詩人、歌手、画家、競輪解説者、エッセイスト、俳優、酒豪、そして表現者である友川カズキのドキュメンタリー映画 『花々の過失』を2009年11月に完成させ、デンマークコペンハーゲンドキュメンタリー国際映画際(CPH:DOX)でワールドプレミアとして公開し、Sound and Vision Award 2009 を受賞した。


'Little Blue Nothing'



'Little Blue Nothing'






フィウメ・ナイツ

詩人ダヌンツィオ(D’Annunzio)によりかつて存在した自由都市フィウメ。「国家の最高原理は音楽」という憲法のもと、毎晩コンサートが開かれ、街には芸術家や音楽家、アナーキスト、冒険家などの革命的エネルギーで溢れかえっていた詩的な歴史にインスパイアされ、『フィウメ・ナイツ』(Fiume Nights)と名付けられたムーンの「ノマディック・フィルムメイキング」の記録。国やジャンルを超えた様々なアーティストを撮影した映像をウェブサイト上で発信し続けている。


Fiume Night 04_ Gaspar Claus



Fiume Night 11 _ Lhasa de Sela & Patrick Watson
















Photo by Brantley Gutierrez














友川カズキvincent moontenmporary areas modest launch